一般職は総合職より給与が低いという思い込みは危険

総合職に比べると、一般職の給与は大きく下がる。
同じような仕事をしているにもかかわらず、一般職の給与は総合職の7割くらい、会社によっては半分程度になってしまう、ということもあるようです。

どの書籍やサイトを見ても、これは当然のことのように書かれています。
私も就職活動をしていた当時は、この事実に全く疑いを持っていませんでした。

視野の狭い私が、就職活動中に知っておけばよかったと思う、給与のことがあります。
それは、『中堅・中小企業の総合職』よりも、『大企業の一般職』の方が、給料が多くもらえることもあるということです。

「総合職の年収 >>> 一般職の年収」は、同じ会社内では正しい図式です。
ですが、社会全体で見てみれば、これが逆転する場合も大いにあるのです。

冷静に考えれば当たり前のことかもしれませんが、思い込みにより気づいていない方も案外いらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、中堅企業の総合職から大企業の一般職に転職し、給料が上がった私の体験談を書いてみようと思います。
具体的なお金の話を書いてみますので、参考になれば幸いです。

スポンサーリンク

最初に入社した中堅企業・総合職の給与

私は大学院を中退し、中堅企業に大卒の総合職として就職しました。
正社員が1,000人以上いて、周囲のいくつかの県にも支店がある、地元では知る人ぞ知る企業です。
正確には、中小企業と呼ぶには大きいが中堅企業というには少々物足りない、という会社かもしれませんが、私の地域では業界シェア1位の事業を行っている会社なので、中堅企業と考えています。

最初は月給18万円からスタートしました。
賞与は年2回あり、合計3か月もらえます。

これでも、大学院を中退し最強の新卒カードを失っていた私には、これ以上の条件を探そうと思ってもなかなか見つからないような良い条件だったように思います。

忙しくて人手が足りないような会社でしたので、社会人経験のない私でも、1週間の新人研修の後、すぐに実務に近いOJTに移行しました。
1年目であっても、とても多様で濃い仕事をさせてもらえたと思っています。

毎月30時間程度の残業を行っていました。
どれくらい昇給するのか、楽しみにしていました。

実際に上がった額ですが、「3,000円」です。
この会社では、昇給額が3,000~7,000円と入社前に聞いていました。

甘い考えかもしれませんが、一度も欠勤せず働いてきたのに3,000円か、と残念な気持ちになりました。
3,000円の昇給だと、年収としては4万5千円しか上がりません。
ある上司の方が、ウチは給料が低いといったことを言われていましたので、7,000円上がることは滅多にないのではないかと思います。

この会社ですが、ベース給与を上げるには昇給・役職が上がるか、難関資格を取るしかありません。
例えば、日商簿記1級で毎月5,000円の資格手当、2級だと一時金として受験料相当の金額がもらえる程度です。
そもそも資格手当がもらえる資格自体の種類が少ないため、年収を上げたいなら転職したほうが楽だと思いました。

転職した大企業・一般職の給与

給料というよりも人間関係から、転職を意識するようになりました。
そして、本当に偶然のご縁があり、大企業から一般職の内定をいただきました。

入社経緯を書くと完全に分かってしまうくらいのご縁ですから、そちらは一切語りませんし聞かれてもお答えできません。
念のためですが、モラルに反するようなことは全くしていないですよ!

社員数は1万人に届くくらいの大企業です。
就職四季報には、40歳社員の平均年収として900万円強の数値が書かれています。
平均勤続年数は男女ともに20年近いようです。
上場しており、株価も業績も安定していて、業種としても無くなることは考えづらい、全く胡散臭くないものです。

この会社の大卒の一般職の初任給は、21万円だそうです。
賞与は年2回で、合計4か月程度です。
私の場合、経験・年齢分を少し上乗せした額の月給を提示いただきました。

事前の説明にて、「一般職の昇給は最大で1万円。長期間の休職などの場合、全く上がらないこともありますがご了承ください。」と言われていました。
最初の昇給は期待していませんでしたが、7,000円も上げていただきました。
欠勤なく働けたものの大きな結果は残しておらず、黙々と仕事をこなしていただけなのに、という印象です。

1年目は、前の会社に比べ、緩めの仕事量でした。
とは言っても、仕事の遂行に知識が必要なので、やりがいがあります。

残業は毎月10時間程度です。
ですが、前の会社よりベースが上がった分、1時間当たりの残業代は3割増しくらいになりました。
残業代は前職より稼げないかもしれませんが、時間を有効に使えるので幸せに思っています。

毎年7,000円上がるとすると、年収としては毎年10万円上がっていきます。
長く働けば一般職でもある程度の役職手当が付きますし、少なくとも「(年齢×10)+100」万円の年収はいただけそうです。

また、大企業なので、福利厚生が充実しています。
社食なら昼食を格安で食べられますし、有給とは別の年間休日数も前職より15日ほど増えました。

資格手当も前の会社より手厚い印象です。
日商簿記2級程度でも、合格時には受験料とテキスト代を回収できるような額のお祝い金がもらえます。
難関資格を取れば毎月資格手当が出ますが、正直なところ金額は前の会社とあまり変わらない印象です(ただ、別途で一時金が出ます)。
決して種類は多くないものの、帰宅後の勉強にもやる気が出ます。

仕事のやりがいについて補足しますと、この会社は「一般職であっても、実力・意欲のある人には相応の仕事を与える」という方針もあってか、一般職でも定年まで働いている人がかなりいらっしゃるようです。
人によっては、総合職と同じような仕事内容なのに給料は大きな差があるのか、と不満に思われるかもしれませんが、私はそこまでお金に執着がないのかあまり気になりません。それでも前の会社より多くいただいていますし。
また、一般職でも部署転属の申し出(もちろん確実に転属できるわけではないですが)や、限りなく狭い枠ながら一般職から総合職への転換もある(逆もあります)ように、大企業ならではの余裕が感じられる制度が他にもあります。

一般職でも平均年収以上に稼ぐ人もいることを知っておくべき

大企業の総合職と一般職で迷っている、という方には参考にならなかったかもしれません。
ですが、「中堅・中小企業の総合職」か「大企業の一般職」で迷われている方もおられるのではないかと思い、私の体験談を長々と書いてみました。

総合職か一般職かを選ぶうえで、仕事のやりがいなど様々な着目点がありますが、どうしても給料の心配は付いて回るのではないでしょうか。
昔の私のように、「一般職は給料が低い。給料を稼ぐには総合職でなければ。」という思い込みに囚われてしまうと、勿体ないことになるかもしれません。

中堅企業の総合職から大企業の一般職に転職した私の場合、年収が上がりました。
一般職の場合は管理職まで進むのは難しいかもしれませんが、前の会社で役職手当が上がった年度の昇給額と今の会社で問題なく働けた年度の昇給額が同じくらいでしょうから、長い目で見ても今の会社の一般職のほうが高い給料をいただけるはずです。

今の会社の一般職は、確かに同じ会社・同年代の総合職の方と比べ6割程度の年収かもしれませんが、社会的に見れば十分いただいている気持ちです。
自分の時間も十分に取れますし、「幸せな転職」ができたのではないかと思っています。

当然ですがあくまで一例ですので、中堅・中小企業の総合職のほうが年収が高いこともたくさんあるはずです。
ただ、私の地域のハローワークに出ている総合職の求人を見ていても、現在の一般職より高い給料をいただける見込みのある求人は、なかなか見つかりません。
一方で大企業でも、仕事内容や給与面など、一般職の社員を大切にしていない会社だってあると思いますから、私の例は参考程度に考えていただければ幸いです。

今回の記事を読んでいただき、視野が広がった・新たな発見ができたという方がいらっしゃれば、私としても嬉しく思います。

スポンサーリンク

こんな記事も読まれています

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ