うつ病の回復期に私が書いていた2冊の日記
専門家の書いた本を読んでいると、うつ病の回復期の過ごし方として、散歩や日記などが挙げられていることが多いです。
なかなか行動が起こせずじっとベッドで横になっていた私が、少しずつ動けるようになったのは、日記を付けるようになったことが大きいと感じています。
私は、目的別に2冊のノートに書き込んでいました。
日記というよりも、メモのようなものになっていました。
「良いこと日記」から始めました
1冊は、良かったことだけを書くノートです。
些細なことでも、良いと思ったことは書き残すようにしていました。
「ストレッチ5分」のような行動や、「よく眠れて頭が少しスッキリ」「散歩したら気持ちよかった」といった感情などを、気づいたときに箇条書きしていました。
うつには、波があります。
うつのときは、辛い面ばかりにすぐ目が行ってしまいました。
そのように、気分が波の底になっているとき、不安になってしまうときに、このノートを読み返していました。
ちなみにこの日記は、下園壮太先生の、『うつからの脱出』という本にも、回復期におすすめのトレーニング法(プチ認知療法)『私の回復日記』として詳しく紹介されています。
![]() | うつからの脱出―プチ認知療法で「自信回復作戦」 下園 壮太 日本評論社 2004-05
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しばらくして始めた「悪いこと日記」
最初は、前述の日記だけを付けていたのですが、「根っこにある原因のようなものが、なかなか取り除けない感覚」が常にありました。
そこで、ノートをもう1冊用意しました。
そちらには、自分の気持ちを一切飾ることなく、すべて吐き出すようにしていました。
以前、うつ病の日記をブログに残さないほうが良い、と書きました。
他人にも見られるブログでは、どうしても書きづらいこともあるはずです。
そういったことも、自分しか読まないこのノートには包み隠さず書くようにしました。
人によっては、「良いことだけを書くべきだ」と思われるかもしれません。
良くない気持ちを何度も吐き出すことで、ますます悪くなってしまう、という考えも理解できます。
私は、日々書いているうちに、同じ思考でぐるぐる回っていることに気が付きました。
それまでの私は、必要以上にどんどん悩みが広がっていました。
「広く浅い悩み」をしている間は病状に進展がなく苦しかったのですが、「狭く深い悩み」に移行して随分心が楽になりました。
何に手を付けたら良いのか、多すぎて分からない状況から抜け出すことができたのです。
日記をつけるときの3つのポイント
これらをノートに付ける時は、次のことに気をつけてみてください。
手書きでノートに書く
読み返してみたときに、自分が書いた字の雰囲気で、そのときの心情が思い起こされます。
私は、気持ちが日々ぐらぐら変わるのと一緒に、文字の大きさや筆圧なども随分変わっていました。
そのため、パソコンの日記ソフトやワードなどを利用するよりも、ノートなどに手書きすることをおすすめします。
軽い気持ちで続ける
日記といっても、毎日記録することを義務としてしまうと、書けなかった日は罪悪感が沸いてしまいます。
そのため、日記帳ではなく、普通のノートを使っていました。
日付が書かれている日記帳では、日記を書かなかった日の空白スペースが、後から気になってしまうかもしれないと思ったためです。
私は、何日か抜けてしまっていても良いや、というくらい気楽に記録するようにしました。
真面目すぎる性格の私には最初は苦痛でしたが、「それくらい気楽な考え方ができるようになれば、後々役に立つ」と言い聞かせました。
無理しない・気持ちを偽らない
私は、何かを書こうと搾り出すことはしませんでした。
「今日は良いことがなかったから何も書けないな」、それで良いと考えていました。
書くことがある日だけ、素直な思いを書くことを心がけていました。
うつ病の日記の書き方の参考になれば幸いです
私がおすすめしたいのは、2冊のノートを用意することです。
良いことだけを書いたノートは、何かメモする度に読み返すようにしていました。
一方、気持ちを吐き出すためのノートは、読み返すことはほとんどありません。
そのときの辛い気持ちを消化するために使っていました。
その場合には、まずは「良いこと日記」を付けてみてください。
それに慣れてきたら「悪いこと日記」も付けてみて、自分に合うと感じれば両方続けてみてください。
少しずつ気持ちが落ち着きつつあり、何かをしたいと思っている方は、日記を付けてみてはいかがでしょうか。
そして、どのような日記を書いていけば良いか迷っている方の参考になれば幸いです。